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面倒な作業こそ丁寧に

タンポ交換の際、古い接着剤を取り除かずに新しい(しかも違う種類の)接着剤を継ぎ足すリペアをする方を一定数見かけ、同業者としてとても残念な気持ちになります。

茶色い接着剤が残ったまま、別の透明な接着剤がついています。木管楽器のタンポ取付けに使われる接着剤は、バーナーの熱で溶け、冷めると固まるタイプのものです。種類の違う接着剤は固まるスピードが異なるため、混在すると狂う可能性が高くなるのはリペアマンでなくても分かる理屈と思います。



楽器修理に限らずですが、技術でお金を頂く仕事に必要な唯一の素養は、おそらく「面倒臭がらずに出来ること」だと思っています。もちろん、思わず「面倒くせー!😫」と思ってしまう作業はいくらでもあるのですが(笑)、「面倒な作業を面倒臭がらず、丁寧に仕上げることが出来る」この一点に尽きるのではないでしょうか。


例えば僕の場合、プロ演奏家の方は勿論ですが、クラリネットだと地元の高校生のちょっと吹ける子の方が、自分よりも断然上手く演奏できます。自分より吹けるお客様の楽器を修理するわけですから、自分に出来ることは「丁寧な仕事をする」以外にないと思うんですよね。

演奏者の皆さんは、我々リペアマンより遥かにたくさんの楽器に対するアイデアを持っています。そのことを忘れないで仕事に当れば、誰の楽器でも丁寧に対応出来るのではないでしょうか。


若い頃に修理を習ったI先生には「仕事は早くて丁寧なのが一番だけど、まずはゆっくりでいいから丁寧に」と教わりました。今だから分かりますが、クオリティを落とさず作業スピードを上げるには相応の経験が必要なんですよね。修理もリードも、初学者の皆さんはまず「ゆっくり丁寧に」を心がけてみて下さい!✨




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