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「楽器のせいにする勇気」も大事!

更新日:2022年12月14日

毎年1月に山口アトリエのお隣の防府市で開催される防府音楽祭。私も10年ほど前から参加させて頂いています。都響の広田先生との出会いも実はこの音楽祭で、初対面はリハーサル初日のステージ上(私は蝶々夫人の2ndオーボエでした!)という懐かしい思い出の場でもあります。

その頃の私はまだロングスクレープリードしか作っておらず、思えばその日を境に人生が大きく動き出して、今日に続いているのです(この話もいつか詳しく書きたいです😊)。


この音楽祭の特色に、音楽祭にいらしている一流演奏家の皆さんによる管楽器クリニックがあります。防府市は吹奏楽が盛んで、小、中、高、社会人と全部門で全国大会に出場する年も多くあり、約20年にわたるこのクリニックも非常に貢献していると思います。

音楽祭の音楽監督が昨年まで都響の首席チェロだった田中雅弘さんということもあり、講師の方には都響の首席奏者の皆さんが多く、とても豪華な顔ぶれです。オーボエはもちろん広田智之先生。広田先生に楽器の組み立て方やアンブッシュアを一から習える中高生は、日本中を探してもここだけなのではないでしょうか!


毎年この音楽祭クリニックを楽しみに聴講させて頂いているのですが、今年初参加の中学生がとても楽器を吹きにくそうにしていました。見かねた広田先生が「すぐに肥塚さんのところに調整に出した方がいいよ!」と仰って下さり、今日顧問の先生がアトリエまで持って来て下さいました。


クリニック中に聴いていた印象では、下管側(右人差し指から下)の音が中音域、低音域を問わず息が詰まった感じだったため、F#-G#の連結キーか、またはF#、G#どちらかのタンポの問題のように感じていましたが…

予想通りG#キーのコルクタンポが破損していて、ここから息が漏れていました!


ここは組み立て時に上下管をぐるぐると大きく回しすぎると、下管側の左右の連結キーがG#のタンポに当たってしまうため、特に中学生はみんな一度は必ず壊すのではないかという箇所です。直径7ミリの小さなタンポのため、特にコルクタンポの場合パッと見ただけでは自分で破損に気付くのが難しいので厄介です。

ちょうどクリニックでも楽器の正しい組み立て方を習ったので、今後は大丈夫でしょう。春に後輩が入ったら、ぜひこういった経験も伝えてあげて欲しいですね。



この中学生もそうですが、オーボエはリードという(他の楽器に比べて遥かに)不確かなものを介して音を出すためか、調子が悪いのが自分のせいなのか、リードのせいなのか、楽器のせいなのか分からず、結局全部自分のせいと思い込んで日々過ごしてしまう方を多く見かけます(特に、真面目な子ほどこの傾向が強いです)。

奇しくもクリニックで広田先生が「オーボエを始めてある程度までは、楽器のせいに出来る人の方が結果的に早く上達できるんです」とおっしゃっていました。これは「何が原因か分からないけどずっと調子が悪い時は、まずは楽器を点検してもらいましょう!」という意味です。結果、楽器には何の問題も無かったとしても、その時は「楽器のせいじゃなかったんだ!」ということが分かります。後はリードか自分の問題ということになり、だいぶ問題点がスッキリしますよね。



オーボエは例え100万円超の最高級楽器でも、ネジがたった1か所緩んだだけで音が出なくなる楽器なので、根性だけでは決して上達できません。プロのオーボエの先生に毎月レッスンを受けていればこうした問題点を見つけて下さいますが、そういった機会の少ない地方では自分で気づいて解決して行かなくてはなりません。


管体割れにしてもクラリネットなどと比べると髪の毛くらい細く割れることが多く、上に書いた通りタンポも小さいため、見た目だけでは楽器の故障が判りにくいのがオーボエです。自分のせいばかりにしないで、「ひょっとして、楽器のせいかも?」とまずは一度遠慮なく思ってみて下さい!!

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