リードメーキング用の刃物は、全て自分で研いでいます。これは建具職人だった祖父の影響もあるかもしれませんが、人にお願いした場合はどんなに自分より上手く研いでくれる方でもやはり1回1回の仕上がりにはバラつきがあるはずで(何せ小さい刃物ですので…)、フィットしなかった時の研ぎ直しが結局自分でやった方が早いからです。
また、昔まだロングスクレープだけを作っていた頃に愛用していたチューブが廃盤となり、その後別の使えるチューブを見つけるのにまる2年かかった苦い記憶もあります。私がリードメーカーとしてまず念頭に置いているのは「いつでもどこでも手に入るものを(主に)使う」ということです。これは経営者としてのリスクマネジメントにも繋がっています。
シェーパーティップも色々試しましたが、結局定番のH25(fumiリード)とH39(ヒヅカリード)に落ち着きました。チューブもChiargiとGuercioで、おそらくしばらくは大丈夫でしょう。リーガーのメーキングとミヒェルのガウジングもど定番で大丈夫と思うのですが、こちらは消耗品なので時々買い足していざという時に備える方針です。ヘルトナーゲルのシェーピングマシンとポトラッツの硬度計は日本であまり見なくなって来ましたが、こちらはリーズンスタッフのもので代用が効くかなと思っています。
話が逸れましたが、今日は今年の仕事始めにリーガーメーキングマシンの刃研ぎの研究をしました。
私のメーキング刃研ぎは、刃の黒幕シリーズの#1000→#5000→天然砥石→#8000→金盤+ホワイトアランダム#20000仕上げ、という工程なのですが、結構大変で(笑)途中の天然砥石と、最後の#20000は無くても行けるのでは?と前々から考えていました。
ただし研ぎ作業自体の簡略化が目的ではなく、「メーキングマシンにかけた後の追い削りがいかに少なく済むような削れ方にするか」が重要なので、単純ではありません。特に刃の研ぎ方を変えると先端と根本の削れ方のバランスが変わり、ひいては C、G、Dの音列のバランスに影響が出る恐れがあるので、普段は怖くて変えれないのです。
それぞれ省略を考えたのには理由があって、天然砥石に関しては同じものが手に入らず、東京⇔山口のアトリエを常に持って移動しなくてはならないため、もし移動中に割れたりした時のリスクを考えて。仕上げ#20000は、むしろ少し荒めの#8000で終わった方が全体が削れてよく振動してくれるのでは?と考えたからです。
結果は、
○天然砥石は省略可能かも、
○#20000 は振動しなくなるので省略不可、でした!
「かも」としたのはまだ1週間後、2週間後の変化も見ないといけないからですが、天然砥石は無しでも行けそうな気がしています。
#8000 で終わった場合はサイドが落ち過ぎてしまうのか、メーキングにかけただけでは全く振動しなくなってしまいました(笑)
普段は完全にルーティン化しているリードメーキングなのですが、こうした思いつきをダメ元でトライ出来るのはお正月ならでは。今年もいいリードをたくさん作れますように!!
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