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梅雨〜初夏(6月〜7月)のリードの取り扱いについて

更新日:2022年10月21日

梅雨入り前〜梅雨明け直後の初夏は一年で最も湿度が高く、日本中のオーボエ奏者の口から一斉に「リードが重い!」「息が入らない!」という言葉が聞こえて来る季節です。しかしこれは(以前こちらのブログ記事でも書いた通り)、湿度が高く冬場の10倍近い水分が空気中に溢れている季節に乾燥した季節と同じようにリードを湿らせて吹けば、リードが重くなりすぎて振動しないのは当然です。また梅雨時期は気圧も低いのですが、気圧が低いと木材は水を吸いやすくなることが分かっており、リードにも同じことが起こっていると考えられます。吸水性が高く(低気圧)、なかなかリードが乾かない(高湿度)ので、気をつけないとリードは水を吸ってどんどん柔らかくなり、重く(振動しなく)なってしまいます。


私も以前は年間を通して同じようにリードを水に浸けてから吹いていましたが、気候(季節)に合わせて湿らせ方(水の与え方)を変えるようになってからは、湿気や乾燥で悩むことがほとんどなくなりました。その経験から、梅雨と言ってもリードが勝手に重くなるのではなく、演奏前に水を含ませ過ぎることで重くなっていたことが分かりました。「リードが重い」のは水を含みすぎて文字通り重量が重くなるため、「息が入らない」のは湿度が高くてリードが乾かずに先端の繊維が柔らかくなりすぎているためで、いずれも水の含ませすぎが主な原因です。


ポイントは【気圧が低く湿度が高い時には、リードに水を与え過ぎない】ことです。


【ヒヅカリードの場合】

①屋外の湿度が常に70%以上と非常に高いこの季節は、ヒヅカリードの場合 先端の削ってある部分の更に先端(1〜2ミリくらい!)をちょんと一瞬水に浸け、すぐに水気を吸い取ります

もしくは、クラリネットのリードのように口に咥えて、削ってある部分を湿らせてやるだけでもOKです。


*冬や春のように先端に水がたっぷり付いた状態でリードケースに置いてしまうと、それだけでリードが重くなって振動しなくなりますのでご注意下さい。先端を水につけた後、必ずリードについた水気を吸い取ってからリードケースへ戻しましょう。

ちょんと一瞬!

先端1〜2ミリはこのくらいです!

必ず、すぐにリードについた水気を吸い取って下さい!


乾いた状態でこのくらいの開きのものは、おそらく口の中で湿らせるだけでも大丈夫です。



②すぐにリード先端の薄い部分だけを唇の先にくわえて吹いてみて、プワプワと音が出て、タンギングでクリアに発音出来るなら準備OKです(深くくわえずに、先端(先ほど水を浸けた辺り)だけをくわえて発音してみるのがコツです!)。

*タンギングの発音がぼやけたりスカスカする場合は先端にもう少しだけ水気が必要なので、そのまま2〜3分ほどリードケースで置いて馴染ませて下さい。



【fumiリードやロングリードの場合】

通常のヒヅカリードより、水気が馴染むのに若干時間がかかります。①と同様に、削ってある部分の先端(ティップ)部分をちょんと一瞬水に浸けた後すぐに水気を吸い取り(またはリードを舐めて湿らせ)、リードケースで10分ほど置いて、ヒヅカリードよりも少しだけ長く水気を馴染ませてから吹いてみて下さい。

その後は同様に、リード先端の薄い部分を咥えてタンギングしてみて、クリアな発音が出来れば準備OKです。



③リード先端は振動するけど根元が重い感じの時でも、クリアなタンギングで発音出来ているなら、そのまま吹いていれば徐々に水気が回って程よい柔らかさになり、リード全体が振動するようになります。


④しばらくしても張りが強すぎてコントロールしにくい場合は、いつもの通り指で先端の削ってある部分をキューっと潰して、表裏がずれないように注意しながら先端の開きを狭く調整してみて下さい。

*削っていない部分は潰さないで下さい。割れてしまいます!fumiリードは材が硬く割れやすいため、特にご注意下さい。



演奏中、リード先端部は口の中で水気を吸い続けます。繰り返しになりますが、この季節は水を含ませ過ぎるとリードの振動は重くなり、先端が柔らかくなり過ぎて振動しなくなり、息が入らなくなってしまいます。

放っておいても乾燥する冬場とは違い、なかなか水分が蒸発してくれない梅雨〜夏の時期は与える水を最小限にし、演奏中もリードがなるべく「乾いた状態」になるようにしてみましょう!



*毎年 梅雨末期から夏にかけて、気圧が1000hPa近くまで低下する時期があります。この時期はリードの水の吸いやすさはMAXになり、湿度が高いのと相まってリードが一層柔らかくなりぺちゃんとなりやすいので、水を与えすぎないよう特に気をつけましょう!

→冬に乾燥でぺちゃんとするのとは原因が真逆ですので、梅雨〜夏の低気圧時は開きがないからといって水をたくさん含ませたりはせずに、一度しっかり乾かして水気を抜いてやりましょう。


*標高の高い場所(低気温・高湿度・低気圧の環境下)でリードが重くなるのも、梅雨時(高気温・高湿度・低気圧)の状況と近いのではと考えています。以前のブログ記事(→こちら)にも書いたように、空気が乾燥してリードが「硬くなって振動しない」のと、湿度が高く水気を含み過ぎてリードが「重くなって振動しない」のとを混同しないことが、どんな環境でもストレスフリーな演奏に繋がる秘訣と思います!





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